自我と無意識 (レグルス文庫)



自我と無意識 (レグルス文庫)
自我と無意識 (レグルス文庫)

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膨大なユングの著作の中での最高峰『自我と無意識』

 膨大なユングの著作の中での「理論面の最高峰」が『タイプ論』であり、「実践面での最高峰」がこの『自我と無意識』。だからこそ専門家のお二人により『自我と無意識』・『自我と無意識の関係』として翻訳も2冊出版されている。
 初心者向け入門書と言うよりも、ユングの精神病治療法のすべてがこの一冊に凝縮されている。ユング心理学の集大成がこの薄い本の中に網羅されている。うつ病・精神病にお悩みの方は読むだけで癒されると思います。
 ユングの邦訳は全冊読破しましたが、わかりやすさと内容からユングの著作の中で一番のお薦めがこの『自我と無意識』です。
ユングの著作に触れたい方に、お手ごろです。

ユングの序言によると、

ユングが、フロイトの見解と原理的に立場を異にするのは「無意識の自立性」という観念である。これは1902年に既に彼のこころにきざしており、この観念について様々にアプローチし続けた。1916年に試論として『無意識の構造』という題で発表した講演が、この本のベースになっている。しかし不十分であり、12年の経験を積み重ねて、1928年に根本から書き直したのが、この本である。
この本では「自我意識の無意識過程に対する関係」を記述しようと、「無意識からの影響に対する意識人格の反応とみなしうる一連の現象」を研究し、「本来的な無意識過程に、間接的に近づこうとした」。

しかし、満足はしていない。「なぜなら、無意識過程の本性と本質という肝腎の問題に対する解答が、いまだに与えられていないからである」。「可能な限り十分な経験を積まないうちは、この至難の課題にあえて取り組まないことにした。その解決は未来にゆだねられている」。

ユングはこの著作について、こうも言っている。

「私にとって大事なのは、私の考察を人々に解釈してもらうことよりもむしろ、いまだほとんど解明されていない、広大な経験領域があることを、この本を通じて多くの人々に知ってもらうことなのである。これまでおよそ光を当てられたことのないこの領域にこそ、意識の心理学にはほんの少しでも近づくことさえできなかった多くの謎に対する答えがあるように、私には思える」

この本は、ユングは非常に熱く語る人ではなかったろうか、と感じさせてくれた。時に話が脱線するのも、彼の情熱の現われのように思える。

惜しむらくは、訳がこなれている所とそうでない所がはっきりしていて、全く意味が分からなくなる所がある点だ、原典を忠実に訳されているのかもしれないが。つまずいて途中で投げ出さずに、分からない所はそのままに一度、最後まで読み通すことをオススメする。

ユングも言っているように解釈を欲しているわけではないとのことなので、訳者には思い切って意訳してでもリズムを大切にして欲しかった。
ユング心理学入門に最適

「訳者あとがき」でも述べているように、確かにこの本はユング心理学における基本について語られており、かつユング自身の書いたものの中ではもっともわかりやすいものである。なのでユング心理学を知る上で一番初めに読むべき本であるといえる。もっとも、わかりやすいといっても他のユングの著作と比べての話なので、さすがにすらすらと読むわけにはいかないが、しかし少々の努力で十分に読み切れるであろう。

『自我と無意識』(直訳は『自我と無意識の関係』)というこの本では、題名どおり自我と無意識の諸現象の関係が語られている。まず「個人的無意識」と「集合的無意識」について語られ、次に「ペルソナ」と呼ばれる、自我が社会との関わりのなかで作り出して身につける、一種の仮面のようなものについて説明される。

後半部では「個性化」という、ユング心理学における究極の目標といえるものについて説明される。その個性化の過程には、「アニマ」や「アニムス」、それから「呪術師」(知恵と権威に満ちた存在で、「老賢人」とも呼ばれることがある)と「太母」(グレート・マザー、いわゆる大いなる母)という諸元型が現れるとしている。その最後に目指すものはユング独自の定義で「自己(the self, das Selbst)」と名付けられたもので、これは究極の心的中心点であるという。

このように、この本ではユング心理学における重要概念の多くについての基礎が扱われているが、ペルソナの対立物として重要な概念である「影」についての説明がないため、これについては他の著作を当たらねばならないのが唯一の難点ではある。それでも内容も値段も手頃なのでユング心理学入門に最適な本として是非お薦めしたい。



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